第14章 日向
瑠璃はなぜかたまらなく切なかった。
日向から多くの言葉を
聞いた訳じゃない。でも…
日向の想いが痛いほど伝わってきた。
「瑠璃…すまない。
こんなことではいかんな…
お前に恋した場所で
またお前と素晴らしい時間を過ごした。
俺はそれで充分のはずなんだ。
だが…俺は…」
「日向様…
何もおっしゃらないでください。」
瑠璃の小さな手が、日向の背中に回る。
「はぁ…瑠璃…」
日向の端正な顔が一瞬歪み
何かを振り切るように瑠璃を抱き上げる
と隣の間に用意されていた
日向の褥に瑠璃を運ぶ。
その顔にはもう迷いはなかった。
「瑠璃…愛している…
この言葉をお前に伝えられるとは…」
日向が瑠璃に覆いかぶさり、
瑠璃の手を褥に縫い付けるように
しながら激しい口づけを落とす。
そして緩んだ着物の合わせから
日向の熱い手が滑り込み
瑠璃の素肌に触れた。