第14章 日向
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翌日
二人は以前訪れた菜の花畑に来ていた。
季節は秋で菜の花は無かったが…
周囲の紅葉がとても美しかった。
「わぁ…!綺麗…」
「療養中に何度か訪れたが…
今日はまた格別だな。」
今日は
隣を見ると瑠璃が笑っている。
春には桜や菜の花
夏には海に向日葵
秋には紅葉した山々
冬には雪景色…
愛する人と四季折々の景色を楽しむ…
城下の恋人達には当たり前の日常。
でも自分には一生叶うことが無いのか…
この気持ちさえ、いま伝えれば
瑠璃を困らせてしまうだけだ。
〝お前と共に見るだけで
目に映る景色はこんなにも美しい…
愛している…瑠璃。〟
日向は心の中で瑠璃に語りかけた。
「え?日向様何かおっしゃいました?」
「…いや。
瑠璃…今宵は一緒に酒を飲もう。
話しておきたいこともある。」
この景色を心に焼き付けようと
日向は静かに目を閉じた。