第12章 緒形の診察室~午後編~
潤んだ瞳で、まるで緒形自身を求める
かのように艶めいた表情を魅せる瑠璃に
さすがの緒形もゴクリと息を飲むが…
「あとお一人残っていらっしゃいます。
こちらの資料にはありませんが…
日向様のことは
どう思っていらっしゃいますか?」
緒形は、表情の読めない微笑みを
瑠璃に返しただけだった。
「………日向様ですか…?
どう思うかなんて恐れ多くて…
でも…とても格好良いなぁと
憧れています。はぁ…
本当のお兄様だったらいいのに…
男性としてどうかなんて
考えるのも申し訳ないです…」
診察台は瑠璃が溢れさせた蜜で
水を撒いたように濡れ…
その上に横たわる瑠璃の身体は
疼きに耐えかねて淫らに揺れている。
「そうですか。憧れ、ですか…
そのお言葉、少々複雑でしょうが
喜ばれると思いますよ?
日向様とも是非一緒にお過ごしになり
お話されてみてはいかがでしょうか。
体調の方も私のお墨付きですから。
…ではこれで終了です。」
「えっ…!?緒形さん…ひどいです…」
瑠璃は今にも泣き出しそうだった。
「おやおや…
苛めるつもりはなかったのです。
そんな顔をなさらないでください。
私は医師ですからこれ以上のことは…
でもこの様な診察に素直にお付き合い
下さった瑠璃さんには、特別な
贈り物をご用意してあります。
葵の間に戻られてから
お一人で中を見てくださいね?」
緒形が悪戯っぽく笑いながら
そっと瑠璃に手渡した布の中身は…
水牛の角でできた高価な貼り型だった。