第12章 緒形の診察室~午後編~
瑠璃は診察のために
緒形の部屋へと向かっていた。
診てもらうって言っても
私、健康そのものなんだけどなぁ。
夜伽が始まったから特別な診察が
あるって聞いたけど…
「緒形殿!少しくらいいいじゃないか!
ずっと順番を待っていたのにっ
貴方も僕と上様の仲を割こうと…」
「ですから今から上様の…」
ん?なんか壺を持って騒いでる人が…
紫京さんだ。苦手だなぁ…
次の夜伽に勧められたけどお断り
してしまったばっかりだ。
「紫京、何を騒いでいる…」
「あっ!上様!
ここで会えたのも何かのご縁ですね!
今からお時間があれば…」
「この後、緒形殿の診察がある。
悪いな…」
目も合わせないように部屋に入り
はーっとため息をつくと、
そんな私を見ながら緒形さんは
優しく微笑みながら扉に棒をかませた。
いつもはそのままなのに
今日は厳重なんだな…
「では家光様…
いえ、瑠璃さん始めましょうか。
今だけは肩の力を抜いてくださいね。」
緒形さんは何やら分厚い資料を
手にしている。
「あぁ、これですか?
診察するに当たっての資料です。
上様の閨のことを知りませんと…」
「?///…よろしくお願いします…」