第11章 緒形の診察室〜午前編〜
「随分待たされたんだけど。
アンタが相談室開いてるんだ?」
「御門殿…江戸に何の御用ですか?」
「あのお人好しの様子を
見に来ただけだけど。
水尾も気にしてるみたいだし。」
「御門殿は…どうですか?
あの方が気になりますか?」
「どうって…何の関係もないアンタに
言う必要があるわけ?」
「時には心を見せるというのも
いいものですよ?
関係のない私にだからこそ…」
「ふうん…まあいいけど。
…何にでも一生懸命で
人から裏切られることなんて
全く考えていないところが
いらいらするだけ。
俺みたいな人間にも警戒心が無くて…」
「そういう方は初めてでしたか?」
「…そうだけど。
特別扱いをしないんだ…あの馬鹿女。」