第11章 緒形の診察室〜午前編〜
「その方への処方箋はこちらです。
まずは恋心をお認めください。
ご自身に素直になることです。
どの様な立場のお二人かは
存じませんが…お気持ちを伝えられる
ならばそれが一番宜しいです。
伝えられないのであれば…
その女性の幸せを考え、
手助けして差し上げることです。
そうすればその幸せを目にした時に
寂しいながらも晴れ晴れとした
気持ちになることでしょう。
今の様に彼女を心のままに
傷付けていては、傷付いたその顔を見て
ご自身も傷付きまた傷付けてしまう…
その繰り返しです。」
「なるほど…後で礼の品をつかわす。
その…助かった。…その者が。」
「いえいえ、お安い御用ですよ。」
緒形はにっこりと笑い、送り出した。
春日局がすっきりした顔で
緒形の部屋から出て来た後、
緒形の好物の甘味が届けられた。
その様子を見ていた者の口から
話はあっという間に広がり
城内は俄かに騒がしくなっていた。
ついにあの春日局様までもが!
…という訳だ。
緒形の部屋の前に行列を作るわけにも
いかず、空きが出たら一番に
話を聞いてもらおうと
菓子を片手に緒形の部屋の様子を
伺う者が続出していた。
さて次は…