第11章 緒形の診察室〜午前編〜
すっかり春ですねぇ…
いえ、季節は夏なのですけどね
瑠璃さんの周りの殿方たちが…
今も朝から私の部屋の前で
入ろうかどうしようか迷っている
殿方の影がチラついています。
私でよければお話を聞いて
差し上げましょうか…
幸いなことに、九条様の体調は
落ち着かれているし
午後から瑠璃様のお身体を診る
予定が入っているだけなので…
いい暇潰しになりそうですね。
「どうぞ…そこの方お入り下さい。
…これはこれは…春日局様…」
お考えになっていることを聞けたら、
一番面白そうな方がやって来ましたね…
緒形は穏やかに微笑みながらも
心の中では期待を膨らませ
ニヤリと笑っていた。