第10章 夏津
しばらくして、自分の白い欲に汚された
瑠璃の肢体に魅入られるように
ふいに愛しさが込み上げてくるものの
そんな自分に戸惑いが隠せない夏津…
そこに瑠璃が問いかけた。
「夏津…?
どうしてこんなことしたの?
その…声を出したからって…だけ?」
「……護衛が二人になったら
湯殿以外でそんな機会無ぇからな。
丁度いいだろ。
お膳立てされた夜伽じゃ燃えねぇし…」
それだけ…?さっきまでの夏津の瞳…
すごく優しかったのに。
「………一度しか言わねぇぞ。」
「なあに?」
「俺を正室にしろよ…瑠璃。」
「…まだ…わからないよ…」
だって、夏津…
さっきから目も合わせてくれない。
夏津の気持ちがわからないよ…
「………長風呂し過ぎると
さすがに護衛が心配する。早く出ろ。」
それっきり夏津は
何も話してくれなかった。