第10章 夏津
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夕刻になり、瑠璃は湯殿にいた。
さっき春日局様からお沙汰があり
火影と麻兎が二人とも護衛に
着いてくれることが決まったんだよね。
優秀な護衛が二人も着いて安心だけど…
二人と自分の関係を思うと瑠璃は
手放しで喜べなかった。
夜伽ならまだしも、二人は大奥の
人間じゃない。そして二人は
お互いに特別な存在のはずだ。
上様として生きると決めた瑠璃にとって
もし二人が一番心安らげて
失いたくない相手になったとしても…
絶対に添い遂げられない運命だった。
いつの間にこんな風に
なっちゃったんだろう…
ついこの間まで恋の一つも知らなかった
私が、いや恋のことは今もわからない
けど…殿方のことで頭を悩ませて。
そしてそれ以上に身体は…
この二ヶ月ほどで劇的に変わった。
すっ…と乳房を撫でてみる。
生まれた時から白いとよく褒められた
柔らかい肌は水を弾き、桜色の先端は
まだ幼い印象だけど十分に艶かしい。
そして…
「…っ…あ…」
そこにちょっと触れるだけで
きゅんと立ち上がり、腰のあたりまで
疼くような感覚が走った。