第5章 ~8月~
翔「10年前にここに来たんだ。家が近かった子の家族と俺の家族で。
その家族が引っ越しちゃうから、記念にみんなでどっか行こうってことになって。
それで来たのがここ。
そのとき、この海をその子と一緒に眺めたんだ。
そして、10年後のそのこの誕生日に、またここで会おうって約束したんだ。
それが、今日。」
そのとき、私には1人頭をよぎった人がいた。
翔「だから、ちょっと期待してたんだけどね。やっぱり、覚えてなかったかな。」
私はまさかと思い
「その子、何て言うんですか?」
櫻井先輩は少し驚いていた。
そりゃそうだよね。急に名前聞いてくるなんて。
翔「……………………高牧 苑華ちゃんだよ。」
嘘………………………。
私は、一番聞きたくない名前を聞いてしまった。