第12章 夏祭りと 【高杉晋作】
艶子視点
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「…失礼します。菖蒲さんの名代で参りました、艶子です」
「艶子か、入っていいぞ」
揚屋の一室にはもう、高杉さんが座ってお酒を呑んでいた。
「お久しぶりですね、高杉さん」
「ああ、少し京を離れていたからな。寂しかったか?」
そういって、にやりと笑う高杉さんは以前とあまり変わらずだった。
「…寂しかったと言ったら、どうします?」
私がそう答えると、高杉さんは少し目を見開く。
「まさか、そう受け応えるとはな。もうからかいは慣れてしまったか?」
そういって笑う高杉さん。
本当は寂しくて心配でしょうがなかったけど、心中を見透かされなくて良かった。
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「高杉さん、ちょっと聞きたいんですけど」
少しの時間が経って、私はお酌をしながら一番聞きたかったことを話そうとした。
「ん?なんだ?」
「明後日…島原を出たところの近くに夏祭りが開かれるみたいなんです」
「ほう、それは花火とかもあるのか?」
「はい、あるみたいですけど…、高杉さん、一緒に行けませんか?」
私は勇気を振り絞って聞いた。