第10章 夏祭りと 【結城翔太】
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私たちは大門前で待ち合わせをして、お祭り会場へ向かった。
「夏祭りなんて、久々だね」
「そうだな、俺もこの時代に来てから初めてくるよ」
ここのお祭りは、地元ではとても有名らしくて、沢山の人がきていた。
空にはもう、花火が打ち上がっていた。
翔太くんの横顔が花火に照らされて、大人っぽく映る。
「…どうした?艶子?俺の顔になんかついてる?」
「い、いやそんなことないよ!!ただ、翔太くん大人っぽいなって思って」
「艶子だって、十分綺麗だよ」
翔太くんは照れながら、そう言ってくれた。
「…翔太くん、誘ってくれてありがとう」
きっと、元の時代にいたら翔太くんとこんな風にいられることはなかったと思う。
今の時代だからこそ、こうやって翔太くんの隣にいられる。
寂しいような、嬉しいような気もするけれど、なんだかんだいって今が1番幸せだ。
「翔太くん、また来年も一緒に来れるかな?」
「これから毎年見に来よう」
翔太くんはそう言って、はにかんだ。
END
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