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枡屋 〜艶が〜るの向こう側〜

第8章 夏祭りと 【藍屋秋斉】






艶子視点
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タッタッタッタッ…


そんな駆け足の音に、気づいた。


瞬間、私の部屋の襖がスパーンッと開いた。


「艶子はん!遅れてえろうすいまへん…」



聞き慣れた低音の京都弁に、私は振り返った。


結構息切れしてるから、置屋内だとしても走ってきたことがわかる。


「大丈夫ですよ、秋斉さん」


「そうでっか…ほんに堪忍。さて、行きまひょか」


そう言って秋斉さんは、私の手をとった。


「今日はみんな揚屋にいるさかい。手を繋いでも何の問題もあらへんやろ?」


秋斉さんは、柔らかく微笑んだ。


「そうですね、久しぶりに2人で出掛けられますね!」


私の頬は、いくら引き締めようとしても緩んでしまう。


「今年こそ花火が見られると思いますえ」


「えっ、本当ですか?」


「そや、前回は雨やったから見られなかったやろ?」


「そうですね…見られるんだ、楽しみ!」


見られることも嬉しいけど、何より2人で見られるのが嬉しかった。


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