第3章 異国の地で 【高杉晋作】
今、イギリスには3年半ほど住んでいる。
晋作さんも職についているし、私も英語はある程度は話せるようになった。
長期休暇があると、いつも私達はいろんな国を訪れている。
かつて、彼の夢だったこのことを、叶えられた。
私にとってそれは、幸せだ。
今、日本では明治時代が訪れている。
翔太くんは、龍馬さんの意思をついで政府で活躍していると、手紙が届いた。
「…明治は、晋作さんにとって目指した未来なのかな」
最近、いつもそう思う。
確か、明治政府は意見の違いで下野する人も多かった覚えがある。
※下野→政府から去ること
「俺は、そんな未来よりもお前がいる未来の方がいいんだがな」
急に声をかけられて、私は肩を震わせてしまった。
「驚いた…泣き止みました?」
「ああ、少し手こずったがな。それにしても、お前の独り言は駄々漏れだったぞ」
「えっ!?」
「そういや、言い忘れてたが来年になったら長州に戻ろうと思うんだが」
「そうなんですか。………ん?」
「結城殿に、政府で働かないかと言われているんだ」
「えええええええええっ!?」
「何も、そんなに驚くことはないだろう」
「えっ、いや、驚きますから!!」
「ぼくたち、ちょーしゅーにいくの?」
「ああ。俺の目指した未来を、創ろうと思ってな」
そういって、晋作さんは片方の口端をニヤリとあげた。
…私の旦那様は、やっぱり我が道を行く人だ。
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「桂さんは元気でしょうかね?」
「妻が出来たらしいぞ」
「ええええっ!?」
「とりあえず、日本に戻る前にもう一人くらい子供つくるか」
「……えっ」
「拒否権はないぞ。お前は一生俺の隣だ」
END