第1章 始まり
わたしは職員室への扉に向かって歩いていた。できるだけ早く...
この学校で職員室に呼ばれるとしたら、引き取り手が見つかった場合と、怒られる時ぐらい。前者はまずない。11年ここで暮らしてきたが一回くらいしかここから引き取られた人はいないし。
つまり、99%くらいの確率で私は怒られに職員室に向かっている。早足で向かっているのはさっさとお説教を受けてさっさと宿題にとりかかりたいから!怒るのって時間の無駄だと思う...
コンコン
ドアを叩く。
「お入りなさい」
校長(院長)の声がする。
やっば、校長先生に怒られるのは相当なことがあったときだけ...この間ボールを十個くらい爆発させてしまったことがバレたか。
恐る恐るドアを開けてみると、先生は起こっている様子はない。あれ?そしてなんか変な格好をした人がいる。でもなんか優しそう。
「ミコ」
「は、はい!」
校長が言い、思わず硬直する。
「あなたを引き取りたいとおっしゃる方がいらっしゃいました。」