第1章 -空中-(青峰大輝)
*Thursday*
木曜日はすみれに会えなかった。
オレはバイト終わって
久々にまっすぐ家に帰った。
まぁあんだけデカイ会社なら、
昨日まで会えてたほうがすごいのか。
すーぐ感情に任せて
動いちまうけど、
いきなりキスはまずかったか…。
でも、キスしたいと思わせた
アイツが悪い。
オレはベッドに寝転んだまま、
携帯に手を伸ばす。
ん…?メール⁈きたかっ⁈
オレは慌てて受信メールを見る。
Sub.明日発売‼︎
『明日オレのスペシャル特集ある
雑誌が出るッス‼︎
よろしくッス‼︎ FROM:黄瀬』
……………………………。
うぜーーーーーっ‼︎
オレはスマホを床に投げつけた。
くそっ。
黄瀬のメールなんか待ってねぇんだよ。
昨日…アイツのカードホルダーに
オレのメアドと番号書いた
メモを入れておいた。
気付くか気付かないかもわかんねぇ。
てか、あんなことしたし、
気付いても連絡はないかもしれない。
ピピピピッ♪
…‼︎
投げつけたままのスマホが鳴った。
オレはベッドから転げ落ちる勢いで、
スマホを拾い上げ、受信メールを見た。
Sub.P.S.
『目印は表紙のオレの笑顔っ‼︎
オフショット添付するッス‼︎』
………。
ピッ。
スマホを投げつける気力も失せ、
オレは黄瀬の写メを削除した。
あー。もう。なんなんだよっ。
待つのは性に合わねぇ。
スマホを枕元に投げ、寝ようとした。
ピピピピッ♪
ったく。また黄瀬かよ?
オレは手探りでスマホを見た。
Sub.檜原すみれです。
《なんでキスなんかしたの?》