第5章 -彼女-(若松孝輔)
「あ!孝ちゃん!こっち来て!」
すみれはオレの腕からするりと抜け、
けっこう高い(すみれには)花壇に
ひょいと飛び乗った。
「おいっ!危ねぇぞ!」
オレは慌ててすみれを支えた。
すみれの目線が
オレと同じくらいになった。
「これでやっと同じだね♪
…チュ。」
突然、
すみれが花壇の上からキスをした。
「なっ…⁈おいっ‼︎すみれっ⁈」
オレはかなり慌てたのに、
当のすみれはけろっとしていた。
「だってココにのぼらないと、
孝ちゃんにキスできないんだもん。」
はぁ…。
オレはすみれを抱きかかえて、
下におろした。
「危ねぇから、そんなトコ乗るな。
キスくらい…オレからしてやるよ。
…チュ。」
オレはそのまますみれを抱きしめ、
キスをした。
すげぇ幸せだったけど、
明日今吉さんに何されるのか、
何言われるのかと思うと、
オレはちょっとゾッとした。
でも、何されてもいっか。
すみれはやっぱり渡せねぇしな。
---End---