第1章 -空中-(青峰大輝)
*Wednesday*
とりあえず…このカード…
どうやって返すかなぁ。
今日は低い階の窓拭きだから、
このブランコみたいなやつも1人。
気がラクだ。
あの女…すみれか…。
どっかその辺にいねぇのかよ。
最悪昨日みたいに帰りに
探せば会えるか…?
窓拭きも気合が入らず…
まぁ、チェック入るわけでもねぇしな。
そう思って次のフロアに来たら、
…いた‼︎
会議室…みたいな部屋で、
アイツは1人でなんかしていた。
書類の束がたくさんある。
書類はどうでもいいが、
1人なのは好都合だ。
オレは窓をコンコンと叩いた。
気づかない。
さらに強くコンコンと叩くと、
すみれはやっと顔をあげた。
『…っ⁈あ…っ。』
なんて言ってるのか聞こえないが、
顔は…怒っている。
オレは昨日拾ったアレを取り出し、
窓に押し付けた。
『あーーっ‼︎それ、わたしのっ‼︎
なんでっ⁈
……☆◯×…⁈』
すみれは
ガタンと思い切り立ち上がり、
声にならない声で
叫んでいるようだった。
まぁ、聞こえねぇんだけど。
勢い良く立ち上がったせいか、
脚をドコか打ったようだ。
我に返ったすみれは、
こちらまで近寄ってきた。
『返してよ‼︎
なんであなたが持ってるの?』
だから、聞こえねぇんだって。
気づけよ。
オレは隅の窓を開けるように、
手で合図した。
低いフロアだと、
換気用に片側だけ開く窓があった。