第1章 -空中-(青峰大輝)
「ま、イイもん見せてもらって、
オレはラッキーだったけどな♪」
「な…っ⁈」
「一瞬だよ、一瞬♪」
オレは昨日の一瞬を思い出し、
チラリと女の胸を盗み見る。
「だからってそういう言い方
しなくてもいいでしょ⁈」
女は昨日の下着と同じかってくらい、
真っ赤になっている。
「そういえば、
あんた、赤似合ってねーよ。
あんただったら…」
パチンッ!!
オレは突然その女の
平手打ちを左頬にくらった。
「ってーなっ。急に何すん…
……⁈」
オレは途中で言い淀んでしまった。
女は目にうっすら涙を浮かべていた。
やべっ…泣かせちまったのか⁈
「あなたには関係ないでしょ‼︎
知ったようなこと言わないでっ。」
女はそのまま走って行ってしまった。
昨日の泣き腫らしていた目が
気になってたのに…。
ん…?
カード…?
可愛らしい淡いピンクの
上品なカードホルダーに入った
入館証が落ちていた。
拾いあげるとあの女の写真…
「檜原…すみれ…?」
走ってった時、落としたのか。
うん…
あの女…檜原すみれ…は、
真っ赤よりこういう色だろ…
カードホルダーに入った
マジメな顔して写ってる
写真を眺めて、オレは思った。