第5章 -彼女-(若松孝輔)
小学校で他学年交流?みたいなやつで、
オレの面倒見るというか、
ペアになったのがなるみだった。
オレがなるみと知り合ったキッカケ。
「女はヤダ」とか、「チビ!」とか、
「足おそい!」とか言って、
散々泣かしたのが、
オレが小1、あいつが小2のとき。
あの時の恨みなのか…
今はこっちが散々泣かされている。
まぁ、実際には泣いてない。
心の中で…ってことだ。
オレの好きな女…
檜原すみれは、今吉さんの彼女…
そう言われていた。
当の本人たちは否定してはいるが、
時に悪ノリしてその噂に乗っかったり…
まぁ、仲はいい。
3年間同じクラスで、
成績も学年トップ争いしてる。
今吉さん、
あんまり女と話すイメージねぇのに、
すみれと話す時だけは楽しそうに話している。
中学のときまでは学年問わず、
すみれに近づくヤツがいると、
オレはキレてたけど、
さすがに今吉さんには
そんなことできねぇ…。
つか、あの人にそんなことしたら、
何されるかわかんねぇ…。
でも…すみれは渡したくない。