第4章 -素直-(笠松幸男)★
-翌日-
あの後暫くしてから、
やっと黄瀬たちが開けに来た。
ニヤニヤしながら…。
オレはもちろんしばいたが、
清瀬…ありあに止められた。
余談だが、ありあは、
オレには…好きな人にだけは、
名前で呼んでほしいらしい。
本人にはまだ「ありあ」と
呼べていないが…。
「いや〜でも笠松先輩も、
やる時はやるんスねっ‼︎」
「あ?なにがだよ?」
部活前、部室で着替えていると、
突然黄瀬が話しかけてきた。
「カーディガン掛けてあげたり〜
抱きしめたり〜♪
かっこよかったっス☆‼︎
オレ、笠松先輩のこと、
見直しちゃったっス☆‼︎」
「「「(なんで言うんだよ…⁈)」」」
…っ⁈
「き〜〜〜せ〜〜〜っ‼︎」
「オレら、先に行くな。
な、森山っ。早川っ。」
「あ、あぁ…そうだな。」
「い、行きますっ‼︎」
「おめぇらもだなっ‼︎待ちやがれっ‼︎」
やっぱりこいつらはしばいといて、
今日の練習メニュー、
こいつらだけ3倍にしといた。
部活中、ふと体育館の2階に目をやると、
いつもの指定席にありあがいた。
昨日もその前もいたが、
同じ所にいるのに、
今日はなんだか違って見える。
「(頑張ってね‼︎)」
オレの視線に気づいたのか、
ありあが口だけ動かして、
手を振ってきた。
……っ⁈
か、かわいい…。
かわいいが、オレはつい照れてしまい、
慌てて目をそらしてしまう。
ダメだな…。
もっと素直にならねーと…。
あとで、
そう思ったこと…素直な気持ち…
ちょっとずつでも
アイツに伝えてみるか…。
あ〜〜早く終わんねぇかなぁ。
一緒に帰りてぇっ‼︎
---End---