第46章 -大人-(虹村修造)

「だって…ずっと好きだった…けど…
修造くん、いつも妹扱いだったし…
このままじゃ、わたし一生一人だし、
だから、葵さんに合コン頼んで…」


「おまえが頼んだのかよ？」


「そうだけど…」


「は〜ぁ…マジ今回だけは林に感謝だな。」


修造くんはさらに強くわたしを抱き締め、
わたしの首元に顔を埋めてきた。


「あの…修造くん？」


「なんだ？」


「わたしのコト…好き…なの？」


「……ダメか？」


修造くんは、顔を上げ、
ジッとわたしを見つめてくる。


「でも…修造くん、彼女いた時あった…」


「…⁈いや…まぁ…それは…」


「…なぁに？」


「オレも…おまえと同じっつぅか…
おまえとは年も離れてるし、
オレじゃダメだなって思ったから…
何人か付き合ったけど…なんか…
やっぱちげぇし、すぐフラれてたけどな。
何言っても言い訳にしか
聞こえねぇだろうけど…もう一回言うぞ？」


修造くんはわたしの目を真っ直ぐに見て、
一度も目をそらさずに言葉を続けた。


「おまえが好きだ。」


「修造くん…‼︎」


「はぁ…おまえが高校卒業するまで、
言うつもりなかったんだけどな。
なのに、こんな大人っぽくして、
青木たち、誘惑しやがって。」


「誘惑⁈してないってば‼︎」


修造くんはわたしの頭を撫でながら、
やっと表情を崩して
笑っていたかと思ったら、
また急にデコピンをしてきた。


「イタッ…‼︎修造くんっ‼︎」


「いつのまにこんな女っぽくなったんだ？」


「…っ⁈」


修造くんはわたしの頭を撫でていた手を、
そのままスルスルッと下に下ろして、
今度はわたしの頬を撫でて、
わたしをジッと見つめてきた。


「も…もし、わたしに他に好きな人いたら、
どうするつもりだったの？」


わたしは恥ずかしくて、
慌てて修造くんの手から離れ、話をそらした。


「あん？」


修造くんはちょっとわたしを睨んでから、
少しだけ考えて、
今度はわたしから目を逸らして、
小さな声で答えてくれた。


「…それでも言うつもりだった。」


「修造くん…‼︎」


「おわっ…⁈」


「わたしも…修造くん、好き‼︎大好き‼︎」


わたしは初めて自分から
修造くんに抱きついた。



---End---