第38章 -再会-(青峰大輝)
「ま、2回もぶつかってくれたおかげで
オレは諦めらんなかったけどな。」
「え…?2回?」
すみれはまたポカンとして、
オレを見つめてくる。
「最初ん時は、
そのまま行っちまったからな。
でも…オレは忘れらんなかった。」
オレはそのまますみれを抱き締めた。
「…‼︎」
「いきなりわりぃ。でも…もう限界だ。
会いたかった…話したかった。
オレは…‼︎」
ガラッ…
「青峰!戻ったぞー!」
「「…っ⁈」」
はぁぁ…なんで今戻ってくんだよ?
マジ、タイミングわりぃなぁ。
抱き締めていたはずのすみれは、
課長の声と同時に、
オレから離れてしまった。
「あ…あ…あ…青峰っ!
おまえってやつは‼︎
市民の方になんてことしてるんだ⁈」
「は?
”なんてこと”…ってなんすか?」
ドアにオレが背を向けて、
すみれを抱き締めていたから、
すぐ離れた小さなすみれは、
オレに隠れて、
課長には見えていないはずだ。
「大丈夫でしたか?
こいつが何か失礼なことでも?」
課長は営業用の顔になり、
馴れ馴れしくもすみれに話し掛けた。
「い…いえ。何も。
あ!じゃあ、よろしくお願いします。」
「あ!おい‼︎」
ちっ…せっかくいい感じだったのに。
半年ぶりの再会…
思いもよらず、
すみれもオレのことを
覚えていてくれた。
課長に邪魔をされたのはシャクだが、
とりあえず今日のところは、
良しとしよう。
そして、その日の夜、
なんとすみれの定期が届けられた。
オレは即すみれに連絡を取り、
次の日すみれが
受け取りに来ることになり、
オレはもう一度会うチャンスを掴んだ。
だが、すみれが来た時間は、
タイミング悪くまた課長がいやがった。
オレはこっそりすみれに
連絡先のメモを渡し…
それから3ヶ月後…
晴れて付き合うことになった。
らしくもねぇオレの一目惚れは、
こうして無事成就した。
---End---