第36章 -掃除-(宮地清志)
とりあえず服はクローゼットに
全部片付け、
少しはまともな部屋に戻った。
でも、まだ完璧とはいえない。
雑誌やら教科書が散らかっていた。
「もー疲れたーー。」
すみれはまた座り込んでしまう。
「おまえなぁ⁈いい加減にしろよ?
じゃあ、もういいわ。」
「え…?」
「おまえが片付けねーんなら、
今日の映画無し!」
「えっ⁉︎ヤダ‼︎」
すみれは勢いよく立ち上がる。
「だって、おまえ、
いつまでサボってんだよ?
今日だって出掛けんのわかってただろ?」
「…ごめんなさい。」
しゅんとしてすみれが謝る。
「おまえは…
オレと出掛けたくなかったか?」
「そんなわけ…。あ…でも…」
ふとすみれは時計を見上げた。
「もう3時…?
ごめん…わたしのせいで…。
もう間に合わないよね…。
ごめんなさい…」
すみれは急に焦りだし、
泣きそうになる。
「はぁ…。
…ったく。早く残り片付けろよ?」
「え…?」
「映画…夜だから。」
「え…?なん…で…?」
すみれはウルウルした瞳で
オレを見上げてきた。
…っ⁈
はぁぁぁぁっ。
…ったく、昔っからだけどよ…
その目は無しだろ⁈
「どぉせこんなこったろうと
思ってたから!
元々夜の回予約してたんだよっ!」
「清志…」
「わかったら、とっとと片付けろっ!」
……ピッ‼︎
「いたっ…‼︎はぁい‼︎」
オレはすみれにデコピンをして、
少し片付いたすみれのベッドに座った。
「サボんなよ?
おい!そっちの雑誌‼︎
積み上げんじゃねぇ!埋めんぞ‼︎
ちゃんと本棚に入れるか、
読まねぇなら捨てろっ!」
「はいっ‼︎」
すみれは不器用ながらも、
少しずつ片付けていく。
「つぅか、扇風機‼︎
いつまで出してんだよ⁈轢くぞ!」
「はいっ!」
映画デートがかかっているからか、
すみれはいつになく真剣だった。
すみれに片付けさせたい時は…
当分この手でいくか…。
---End---