第36章 -掃除-(宮地清志)
「ふぁ…清志、早すぎるよ…」
すみれはあくびをして
のんびりと起きる。
「あん⁈早くねーよ。どぉせ、
こんなこったろうと思ったし。」
「だって…寒かったから、
ついコタツに入っちゃったんだもん。」
久々の部活休み…
すみれと映画に行く約束をしていた。
映画の時間は余裕を持って夕方の回…
って、すみれには言ってある。
こいつがグダグダすんのが
目に見えてたから。
「つぅか、
部屋片付けとけっつったろ?」
「えー?」
「”えー?”じゃねぇ!焼くぞ‼︎
なんで制服のブラウス
脱ぎっぱなしなんだよ⁈」
「あ!ちょっ…ダメ‼︎」
……。
オレがブラウスを拾い上げると、
ブラウスの下から白のブラが出てきた。
オレはブラのサイズ表示を盗み見る。
「ふぅん…♪(E…かぁ♪)」
「バカ清志っ‼︎」
すみれはブラを床から拾い上げ、
オレからブラウスを奪った。
「…もうっ‼︎」
「おまえが脱ぎっぱなしなのが
悪いんだろ⁈…ったく‼︎」
「昨日疲れて寝ちゃったんだもん!」
その言い訳…
今までに何回聞かされたことか…。
『すみれさんて、
すみれさん自身もキレイだし、
部屋とかもキレイそうですよねー。
いい匂いしそうだしー♡
あー宮地さんいいなー♡』
以前そう言っていた高尾に
この状況を見せてやりたい…。
「あ!おまえ、これオレの‼︎
オレのちょーーー大切な‼︎
”スラム○ンク”じゃねーか‼︎
しかも最終巻‼︎
ずっと探してたんだぞ⁈」
床に散乱した雑誌や教科書に混じって
オレのマンガまであった。
「あ…。ゴメン。前に借りてたの、
返すの忘れてた。」
「おまえなぁ⁈
最終巻なんか特に大事な‼︎
涙無しでは見られない巻だぞ⁉︎」
「うぅ…ごめんなさぁい‼︎」
……。
可愛く言ってもムダだっつーの!
今日ばかりは…
その手には乗らねぇぞ。
「ほら‼︎なんで洗濯してある服も
そのままなんだよ⁉︎
クローゼット入れろって。」
「わ…わかった‼︎片付けるから!」
洗濯物だからか、すみれは焦って
やっとコタツから出てきた。
…ったく。
どんだけ時間かかってんだよ。