第34章 -冬シチュ三部作②-(青峰/宮地/木吉)
-宮地清志×先輩-
「み…清志‼︎ごめんね!」
大好きな先輩…
いや、大好きな彼女が、
小走りでオレに駆け寄ってくる。
「おわっ⁈んな、待ってねーから。
つーか、ヒールで走るなって!」
駆け寄ってきて
転びそうになるすみれを支える。
この間、すみれに告白して、
まさかのOKの返事がもらえた。
すみれと付き合うことになり、
初デートはクリスマス当日…今日となった。
今までたまに外で会うときは、
”先輩と後輩”だったが、
今はもう”恋人”なんだと思うと、
柄にもなく
舞い上がってしまう自分がいた。
「きゃ…。ごめんね。ありがとう。」
…。
ふわりとした笑顔でそう言われると、
怒る気も失せた。
「付き合うことになって、
会うの初めてだね。」
…っ⁈
すみれのことばに、
思わず赤面しそうになる。
名前で呼び合うのも、
なんだかまだこそばゆい。
「…照れてる?」
…⁈
「照れてねーよっ‼︎」
「ほんとかなぁ?
暗くてあんまり見えないけど、
顔赤くない⁇」
「あ…赤くねーよ‼︎轢くぞ‼︎」
「あはは…っ。清志、怖いなぁ。
ほら、行くよ?」
すみれはオレの手を引いて歩きだした。
はぁ…ったく。
付き合うことになっても、
すみれは変わらない。
いつでもオレより大人だし、
オレより余裕がある。
1つしか変わらないのに…。
「はぁ…清志は照れてないのかぁ。」
すみれが歩きながら、
さっきの話を蒸し返す。
「あのなぁ⁈その話はもう終わ…」
「わたしはすっごい照れてるのにな。」
…っ⁈
オレが何も言えずにいると、
すみれはえへへと笑いながら続け、
オレの手を引っ張るように
少し先を歩いた。
「”清志”って呼ぶのも、
”すみれ”って呼ばれるのも…。
でも、照れる気持ちより、
手を繋ぎたい気持ちのほうが
勝っちゃった♪」
そう言ってすみれはさらに強く
ギュッとオレの手を握り直して呟いた。
「悔しいなぁ。」
「…何がだよ?」
やっとすみれの横に並び、
すみれの歩幅に合わせ、
ゆっくり歩きながら聞く。
「清志…いっつも余裕なんだもん。」
…⁈