第34章 -冬シチュ三部作②-(青峰/宮地/木吉)
「イルミネーションとか言ってたの、
また別の日にしたほうがいいな。」
先週の公園の帰り…
「星をちゃんと見れなかった」
と、スネるすみれにねだられ、
クリスマスのイルミネーションを
今度の日曜に見に行く約束をさせられた。
「なんで⁈日曜日には治ってるよ‼︎」
すみれは急に起きあがろうとする。
「危ねーって。寝てろ!」
すみれの肩を押さえ、
もう一度、すみれを寝かした。
「もう熱も下がったし、大丈夫だって!」
「イルミネーションて夜だろ?
寒いし、また風邪ひくかもしんねーだろーが。」
「風邪ひかないもん!
せっかく…大輝が…」
…‼︎
珍しくオレがすんなりOKしたからか…。
すみれはそう言うと、
目に涙をためてしまった。
「はぁぁぁ…ったく!
行かねーとは言ってねーだろ?」
「だい…き…?」
だぁぁっ…
その顔でオレのこと見んなって。
理性…保てなくなんだろーが。
「クリスマスのイルミネーションだろ⁈
クリスマスに見りゃ十分じゃねーか。」
「え…?」
「だからぁ!」
ポフッ…
オレはすみれの顔に布団をかぶせた。
「うわっ…大輝⁈」
「クリスマスに行けばいいだろ?」
「え…?クリスマスに…行ってくれるの?」
すみれはそっと布団から顔を出した。
…⁉︎
せっかく布団でオレの顔見えなくしたのに意味ねーじゃねーか。
「あぁ。」
すみれから顔を背けて返事をした。
ほんとはクリスマスの人混みなんか
行きたくねーけど。
すみれが喜ぶなら…たまには…。
「やったぁ‼︎楽しみだね‼︎」
やっとすみれの笑顔が見れたな。
「泣きそうだったくせに現金なヤツー。」
「だってー。」
ボフッ…
「それまではコレで我慢しとけ!」
オレはもう一度すみれの顔に
布団をかぶせて、
すみれの手に触れるように
ある物を置いた。
「きゃっ‼︎…?なぁに?」
すみれが布団から顔を出したので、
オレはまた少し顔を背けた。
「…‼︎‼︎大輝…これ…⁈」
オレが渡したのは、
小さなクリスマスツリーだった。
小さいくせにちゃんと電飾が光るやつ。