第32章 -関係-(宮地清志)***
-すみれside-
自分のことばにテンパってしまう。
こ…告白したも同然だよね…⁈
でも、きっと今のじゃ伝わらない。
でも、やっぱり恥ずかしくて、
直接言えないよ…。
でも、今日は宮地の誕生日…
ちゃんとわたしから言いたい…!
「すみれ…オレ…」
…‼︎
「ま…待って!」
思考回路が止まる寸前、
宮地の手にあるポッキーを見て、
緑間がくれた油性マジックを
思い出した。
咄嗟に宮地からポッキーを奪い、
宮地に背を向けてしゃがみ込み、
バッグから油性マジックを取り出した。
「すみれ…?」
思い出したのは、
ポッキーのパッケージの裏面…
受験シーズンとかにはよく
メッセージを書くスペースがある。
今はないけど…
でも、油性マジックなら…
「プレゼント…に、
なるかわからないけど…」
想いを込めてメッセージを書き、
勇気を出して、もう1度、
ポッキーを宮地に渡した。
宮地はポカンとしている。
「…なんだよ?」
わたしは宮地の胸に
ポッキーを押し付けた。
自分の顔がゆでダコみたいに
真っ赤になっているのはわかった。
押し付けていたポッキーが、
急にわたしの手からはなれ、
宮地がポッキーを
手にしたことがわかった。
宮地は何も言わない。
恐る恐る…少しだけ顔をあげ、
宮地の顔を盗み見る。
「すみれ…おまえ…」
…⁈
……ギュ。
…⁈⁈
宮地のことばに、
ゆでダコ状態のまま、
宮地を見上げようとしたら、
そのまま宮地に抱き締められた。
「おまえ、埋めんぞ⁉︎」
「な…なんで…⁈」
”埋める”と言った宮地だったけど、
そのことばとは裏腹に、
宮地の声は優しくて、
力強くわたしを抱き締めてくれていた。
「さいっこーのプレゼントだよ。
つぅか、オレに先に言わせろよ…。
バーカ。」
「バ…バカ〜⁈」
「うっせぇ‼︎焼くぞ⁉︎
オレも…オレも好きだっつーの!
オレと付き合え‼︎」
………⁈
「うんっ!」
わたしは大きな声で返事をし、
わたしも宮地の背中に手をまわして、
ギュッと宮地に抱きついた。
「すみれ…」
宮地の声に顔をあげる。
端正な宮地の顔が近づいてくる。
わたしはゆっくり目を閉じた。