第32章 -関係-(宮地清志)***
-宮地side-
今日にかぎって、
やたら他の奴らの引きが早い。
あの緑間ですら帰ったし、
大坪と木村まで帰った。
18の誕生日は1人かよ…。
別に誕生日祝ってほしいとか、
そういうんじゃねーけど、
なんとも言えない虚無感を感じながら、
1人で練習を続けていた。
すると、しばらくして、
突然体育館のドアが開き、
すみれが入ってきた。
すみれは相変わらずだったが、
「お誕生日おめでとー!」
と言って、誕生日プレゼントをくれた。
すみれにおめでとうと
言ってもらえるだけで、
オレのモヤモヤは一気に吹っ飛んだ。
ほんと…現金だよな。
すみれからのプレゼントは2つあった。
1つ目を開けると、
ポッキー…とスポーツタオルだった。
「おまえ、どんだけ
ポッキーこだわってんの?」
思わず笑ってしまうと、
してやったり顔のすみれ。
「それ、限定ポッキーなんだよー?
って、ポッキーはおまけだからね?
こっちがメインだから。」
もう1つのプレゼントを開けるように
すみれに促される。
プレゼントを開けると、そっちには
手作りらしいマフィンが入っていた。
「練習後に小腹すいてるかなと思って、
今年はマフィンにしてみました♪」
「おー!マジ、サンキュー!
ちょーうまそう!食っていい?」
「ふふ…もちろんだよ♪」
すみれの笑顔を見ながら、
オレはマフィンを食べた。
「おっ!やっぱうめぇ!
すみれ、また腕あげたな。」
「えへへ〜♪当然っ♪」
「おまえ、少しは謙遜しろよなぁ?」
オレのことばで、
すみれとオレは同時に笑った。
やっぱ…すみれとは
この空気がいいよな。
「あはは♪
でも、今回は特に自信作なんだから。
なんたって、宮地の誕生日のために
たくさん練しゅ…⁈」
…っ⁈
オレの…ため…?
「あ…えっと…あの…
深い意味はなく…えっと…」
すみれが今まで見たことないくらい
真っ赤になっていく。
「すみれ…オレ…」
「ま…待って!」
すみれはオレのことばを制止すると、
オレにくれたポッキーをサッと取り、
バッグからペンを取り出し、
何かを書き始めた。