第32章 -関係-(宮地清志)***
-すみれside-
「ム…ムリだってーー。
やっぱりムリっ!」
「すみれなぁ⁈
いい加減覚悟決めろよ⁈
大坪さんと木村さんも
協力してくれてんだろ⁈」
11月11日…部活終了後…
宮地の誕生日の部活終了後…だ。
わたしは体育館の入口で、
裕也に背中を押されていたが、
どうしても体育館に入れなかった。
中では宮地や大坪、木村、
他のメンバーも何人か練習をしていた。
「だいたい何がムリなんだよ⁈
昨日までやる気だっただろ?」
「で、でも…わたしの勘違いだったら
恥ずかしいし…。
宮地と気まずくなっちゃったら…。」
「はぁ…。
(勘違いなわけねーだろ。)」
裕也に大きなため息をつかれる。
夏の合宿のとき…
宮地のコトが好きなんだって、
やっと自分の気持ちに気がついた。
宮地が横にいてくれるのが、
当たり前になりすぎて、
宮地がいなくなるなんて、
考えられなくなった。
でも、今更恥ずかしくて…
あの時…たしかにキスされたけど…
次の日、宮地は何も言わなかったし、
わたしも気まずくなりたくなくて、
いつも通りに過ごした。
大坪や木村は、わたしたちが
付き合うことになったと思って
喜んでいたけど、わたしたちの関係は
今日の今日まで何も変わっていない。
それで業を煮やしたこの3人も
協力してくれて、
宮地の誕生日に
告白しようと思ったんだけど…
「やっぱりムリだよーー。」
さっきから情けない声しか出ない。
「そんなこと言ってると、
どっかの女に兄キ持ってかれるぞ?」
…っ⁈
「う…。それはイヤ。」
「兄キ、口わりぃけど、モテるからな?」
「…知ってる。」
そんなの1年の頃からだ。
宮地はモテるのに、
なんでわたしと
仲良くしてくれるんだろう?
女のコだと思われてないのかな。
男友だち…みたいな?
ガラッ…
「おまえ、早く来いって。
そろそろ体育館残ってる連中、
追い出し始めるぞ?」
木村が体育館から出てきた。
「木村〜やっぱり一緒に行こうー!」
「はぁ⁈バカ言うなよ。」
ガラッ…
また体育館のドアが開き、
大坪が緑間や高尾、
他の残ってたメンバーを連れて出てきた。
「ほら、行ってこいって。」
大坪が優しく肩をポンとしてくれた。