第31章 -電車-(青峰大輝)[前編]
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「おい!起きろって!着くぞ?」
「ん…ふぁ……?」
あったかぁ…い。
あったかいものをギュッとしてしまう。
「まだ起きたくないー。」
…ピッ!
「いった…ぁぁっ‼︎」
気持ちよかった眠りから一転、
デコピンで起こされ、
一気に現実に引き戻される。
そうだ…わたし、神奈川まで…
…って、青峰くん⁈
「…ったく。いつまで寝てんだよ?
おら!降りんぞ!」
「えっ⁇降り…?あ…待って‼︎…っ⁈」
わたしがおでこを押さえて、
ポカンとしていると、
青峰くんはわたしの手を取り、
そのまま電車を降りた。
見覚えのある景色…地元駅だった。
「あれ⁈青峰くんてたしか、
□□なんだよね⁈」
…⁈もしかして…⁈
「おまえ、起きねーし。」
「…っ⁈ご、ごめんねっ‼︎
てゆぅか、起こしてよ‼︎」
わたしが悪いのに、
つい青峰くんに
理不尽なことを言ってしまう。
「…気持ち良さそうに寝てたしな。」
…っ⁈
青峰くんのことばに、
わたしは思わず赤面してしまった。
今さらだけど、
手も繋いだままだった。
「だ…だからって…
青峰くんが降りれなかったら…」
「よだれ垂らして寝てるヤツ、
そのまま放置して降りらんねーだろ?」
「な…っ⁈」
思わず口元を触ってしまう。
「くくっ…おもしれーな、おまえ。」
…っ⁈
「だ…騙したなぁ⁈」
「ガン寝してたのはほんとだろ?」
「…すみません。」
「はぁ…おまえ、家どこ?」
「へ…⁇」
青峰くんはいつも突然話題を変える。
なんで家を聞くんだろう?