第27章 -水着-(日向順平)
「すみれ!ドリンク…」
「……。
あ!伊月先輩!ドリンクどうぞ!」
「あ…ありがと。」
これは……。
「すみれ、次の…」
「あ!リコさーん!」
「すみれちゃん?どうしたの?」
これは本格的にやべぇな…。
海に行くのを拒否してから、
すみれはオレを徹底的に無視していた。
電話やメールはもちろん、
朝も行く時間をズラし、
部活中もどうしても必要な時以外は、
完全にオレは空気として扱われていた。
すみれと話せないまま数日が過ぎ、
やっと明日は部活が休み…。
本当だったらすみれとデートだったが、
それもおじゃん…。
やっと明日が休みなので、
皆ちょっと浮かれている中、
オレだけ黒い空気に包まれていた。
オレはいまだに
すみれと仲直りできないでいた。
「日向ー。おまえ、
すみれちゃんに何したんだよ?」
「べ…べ…別になんもしてねーよ!」
「なんもしてないわけないだろー。
すみれちゃんがあんな怒ってるトコ、
見たことないけど?
早く仲直りしろよー?」
部室で伊月にそう諭されるが、
すみれが怒ってる理由なんて、
他の奴らに言えっかよ。
「降旗たち、明日海行くのー?
いーないーな!オレも行きたーい!」
海だと⁈
コガの声に思わず
コガたちのほうを睨んでしまう。
「ひ…日向…?怖いよ?どうしたの?」
コガが固まっていた。
やべぇ…ただの八つ当たりだよな。
「先輩たちも行きますか?
一応オレら1年だけで、
あとは檜原の友達も来ますよ。」
「1年生の女のコも来るのー?
ますます行きたーい!皆行こうよー!」
降旗のことばに
テンションをあげるコガ…
つか…すみれの友達⁈
「それってすみれも行くのか⁈」
思わず降旗に詰め寄ってしまった。
「えっ⁉︎は…はい。」
「元々、檜原さんの提案ですから。」
「うおっ⁈黒子⁈」
オレに固まる降旗に代わって、
どこからか現れた黒子がこたえた。
すみれの提案だと⁈
「日向さん…知らなかったんですか?」
「オレらてっきり日向さんが予定あって
遊べないからかと…」
1年たちは困惑していた。