第2章 -百合-(氷室辰也)★
-ゆりなside-
ゆりな
「……んん…」
ここ…どこだろう?
見たことない天井…
わたし、寝てる…?
…?
……っ⁈
ゆりな
「辰也くん⁈」
ふと顔を横に向けると
辰也くんが枕元に寝ていた。
氷室
「ん…?ゆりな…気がついたんだね。」
辰也くんは眠そうな目をこすりながら、
優しい表情でわたしを見つめた。
辰也くんとの距離が近い。
ほんの数10cmの距離…
ゆりな
「あ…。うん。」
慌てて起き上がろうとすると
力が入らない。
氷室
「おっと…。まだ危ないよ。」
辰也くんが体を支えてくれ、
わたしはまたベッドに寝かされた。
さ…さっきより近い…。
な…なんで…
まだ肩を支えてくれているの?
ゆりな
「た…辰也くん…?あの…」
氷室
「どうしたの?」
わかってるくせに…。
こんなに近くてドキドキしてるのにっ。
とは言えず…
ゆりな
「あの…ここ、保健室…?なんで…?」
別の疑問を投げた。
氷室
「アツシがケーキもらいに行っただろ?
その時、ゆりなが倒れたんだよ。
養護の先生に見てもらったら、
貧血だって。
最近寝てなかったのか?
って言ってたよ。」
ゆりな
「最近…部活遅かったのと…
緊張してたからかな…」
保健室にいる理由はわかったけど…
辰也くんがこんなに近い理由は
わからない…
ゆりな
「あ、あの…辰也くん…?近い…」
顔が赤面するのがわかる。
氷室
「あぁ。
ゆりながオレのこと避けているから…
ちょっとおしおき…かな。」
ゆりな
「えっ⁈」
氷室
「なんでオレのこと避けてたの?」
ゆりな
「避けてなんか…」
氷室
「ウソつき…。」
辰也くんはさらに顔を近づけてきた。
ゆりな
「ウ…ウソつきは…辰也くんだもん。」
色んな想いが込み上げてきて、
思わず涙が溢れそうになっているのが
自分でもわかった。