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〜Mint Candy Story〜

第26章 -屋上-(青峰大輝)


はぁ…



屋上って遠い…。



階段疲れるし…。



放課後…
わたしは屋上に向かっていた。



コレで何度目だろう。


わたしは数学の課題を出していない
隣の席の青峰くんを探していた。


『おまえ、もう青峰係だな。』


先生がそうからかうくらい、
わたしは事あるごとに
青峰くんを探し、
提出物を出させたり、
宿題のプリントを手渡していた。


青峰くんは、
クラスでも異彩を放っている…
というか、教室にいる時は
基本的に寝ているし、
あの大きな体と鋭い目…


怖がっている人が多かった。


それは学級委員も例外ではなく、
提出物を出さない青峰くんに
困り果てていて、
青峰くんには何も言えず…。


『お願い!
檜原さん、仲良いでしょ⁈』


『えっ…⁈』


仲良くは…ないんだけどな。
隣の席ってだけで…。


青峰くんは見た目は怖いけど、
こっちが普通に話せば、
ちゃんと話してくれる。


わたしが青峰くんと話しているのを見た
学級委員に始まり、
いつのまにか他のクラスメイトや、
最近では先生までも、
青峰くんに何かあると
わたしに頼んでくるようになった。


そんないきさつがあり、
今日は数学の先生に
青峰係を仰せつかり、
わたしは青峰くんを探していた。




ガチャ…




屋上のドアを開け、
最近慣れてきた梯子をのぼり、
さらに上の青峰くんの指定席を目指す。


「…青峰くんっ!」


わたしは今日も青峰くんを見つけた。


「げっ…‼︎なんだ、すみれか。」


「なんだってなによ?ヒドイなぁ。」


寝ている青峰くんの横に座り、
わたしは一言文句を言った。


「またさつきかと思ったからさ。」


…ドキン。


青峰くんからさつきの名前を聞くと、
最近胸が痛い。


この場所を教えてくれたのはさつき。


青峰係になったはじめの頃、
わたしはとりあえず彼が所属している
バスケ部の体育館に探しに行った。


そこで青峰くんはたぶん屋上だ…と、
教えてくれたのがさつきだった。


それ以来さつきと仲良くなり、
今ではさつきや
バスケ部の主将の今吉さんにまで、
バスケ部のマネージャーに
勧誘されている。


「さつきじゃなくて残念でしたー。」


「ぜんぜん残念じゃねーよ。
すみれでよかった。」




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