第25章 -純潔-(灰崎祥吾)★
「化粧したまま寝てっと、
肌荒れんぞー。」
小さな声でそう言って、
オレはまたすみれの頭を撫でた。
気がついたら、朝の4時だった。
始発が動き出したら、
たぶん石田は来るだろう。
来なかったとしても、
こいつもそのうち帰るだろう。
すみれはよっぽど飲んでいたのか、
まだ起きる気配はなかった。
オレにとっちゃありがたい…か。
……チュ。
オレはそっと
すみれの唇にキスをした。
これくらい…許してくれな。
オレはスマホと鍵だけ持って、
家を出た。
すみれ…もう二度と来んなよ。
そんで…ちゃんと名前の由来通りの…
小さな幸せの中で…恋しろよ。
---End---