第25章 -純潔-(灰崎祥吾)★
20歳になってもやるコトは変わらず…
変わったコトといえば、
酒も飲めるしタバコも吸える…
ようになったくらいだ。
正確に言うなら、
”正々堂々”
酒も飲めるし、タバコも吸える…
ようになったくらいだ。
ゲーセンはあまり行かなくなったが、
それでも女とナンパはやめられない。
別に女には不自由してないし、
相変わらずの生活だった。
だが、高校の頃と
変わったコトがひとつだけ…
幼なじみのすみれが、
大学に入るのと同時に静岡に来て、
ちょくちょくウチにまで
来るようになった。
飯作ってくれたりするから、
それはなんだかんだでラッキーだが、
女が来てるときでも、
あいつは平気で入ってくる。
遠ざけても遠ざけても、
すみれはウチに来る。
オレが部屋の鍵を
開けっ放しにしてるから。
勝手に入られるのが嫌だったら、
鍵を掛ければいいだけのコトだが、
オレはそれをしない。
すみれはオレが女と真っ最中の時でも、
顔色ひとつ変えず、
買ってきた食材を冷蔵庫に入れていく。
オレと…どこぞの女の喘ぎ声を
聞きながら。
冷蔵庫に食材を入れ終わると、
あいつは黙って出て行く。
そして、すみれは次の日にまた来て、
前の日に冷蔵庫に入れた食材で
飯を作っていく。
「オマエさぁ、オレとシたいわけ?
なんなの⁈」
大学に入ってすぐ、
女とヤッてる時に
初めてすみれが入ってきた時は
さすがにオレもその場で聞いたが、
すみれは無言だった。
次に会ったときに問い詰めると、
「祥吾くんのおうちだし、
祥吾くんが
ナニシててもいいと思うよ。」
あいつの返事はそれだけだった。
それがもう1年続いていて、
2年目になった。
毎回女がいる時に来るわけではないが、
すみれ曰く”ナニシてる時”に
遭遇した次の日は、
すみれは必ずオレの部屋に来る。
それが当たり前のようになっていて、
すみれに見られた次の日は、
いつのまにかオレは
家に1人でいるようになっていた。
すみれを待っているわけじゃない。
冷蔵庫の中のモン腐らせても困るし、
オレじゃ処理できないからだ。
だけど…
オレはあいつだけは抱かない。
そう決めていた。