第24章 -彦星-(虹村修造)★
7月に入ると、駅前のスーパーに
今年も大きな七夕飾りが飾られていた。
小さなコたちが一生懸命短冊に
お願いごとを書いているトコロに
わたしも混ざり、
今年も短冊にお願いごとを書いた。
『大好きな修造と
ずっと一緒にいられますように。』
ピンクの短冊に書いた。
毎年このスーパーの七夕飾りに
お願いごとを書くのが、
わたしの七夕まつり。
一昨年までの七夕の短冊には
部活のコトを書いていたけど、
去年は初めて恋愛のコトを書いた。
『大好きな人のお誕生日を
一緒にお祝いできますように。』
もちろん大好きな人は修造のコト。
去年はお誕生日メールをして、
しばらくメールのやり取りをしたけど、
わたしの勇気もなく、修造に会って
一緒にお祝いはできなかった。
それから1年後。
織姫と彦星はわたしのお願いを
叶えてくれた。
今年の修造のお誕生日は、
一緒にお祝いができる。
わたしはずっと前から
楽しみにしていた。
「お姉ちゃんも短冊かざる〜?」
隣で書いていた女のコが
ニッコリして声を掛けてきた。
「うん♪飾るよ。」
「ね、1番上に一緒にかざろう!
お空に近いほうがお願い叶うよ♪」
カワイイなぁ。
チラリとその女のコの短冊を見ると、
『ひろくんと
こいびとになれますように。』
と、書いてあった。
わたしと同じだなぁ…と、
思わず笑ってしまった。
「そうだね!1番上に飾ろう!」
わたしは店員のおじさんに頼み、
2人の短冊を
笹の葉の1番上に飾ってもらった。
あ…そういえば、短冊に
おもいっきり
修造の名前書いちゃった。
ま、あんな上に飾ってあるし、
誰も人の短冊なんて見ないよね。
きっと名前書いてあるほうが、
織姫も彦星も
ちゃんとわかってくれるよ。
うん!
わたしは笹の葉の
1番上で揺られている
自分の短冊を眺めながら、
そんなことを考えていた。