第22章 -彼氏-(日向順平)
「そいや、誠凛のマネのコ、
可愛かったよな〜」
「そうそう!
オレ、前に試合会場でも見ててさ!
前から気になってたんだよな〜」
「オレ、さっきボール取ってもらって、
ちょっと話したし♪
これを機にお友だちになれるかな〜♡」
誠凛のマネって……
すみれじゃねーかよ⁈
他校の奴らの耳障りな声が
余計にイライラさせる。
今日は遠征でウチ入れて4校で
練習試合をしていた。
今は休憩時間。
体育館脇で話してるヤツら…
たしか○○高校の…?
男子校だったか…
…んだよっ。胸くそわりぃなっ。
「日向ぁっ!遅いよ〜!」
オレがイライラしていると、
コガに呼ばれた。
「なに不貞腐れてんの〜?」
「別になんもねーよ!」
イライライライラ…
あーーイライラするっ‼︎
「すーちゃん‼︎
日向が試合始まってないのに、
クラッチタイム入ってる〜〜〜っ‼︎」
「順平先輩っ⁈どうしたんですか⁇
ドリンク飲みます⁇
マッサージしますか⁇」
…っ⁈
コガが余計なコトを言うから、
すみれが心配して、
オレの顔を覗き込んできた。
だぁぁぁっ‼︎
逆効果だっつーーの‼︎
バチンッ‼︎‼︎
「…ってぇ…⁈うわぁ…っ」
「日向くん、うるさいっ‼︎
そんなに元気ありあまってるなら、
試合の後も練習させるわよ?」
……………。
カントクのことばで、
オレはちょっと落ち着いた。
いや、正確には脅しに負けた。
「えっと、次の試合は〜…
○○高校ね!」
「○○高校⁈」
「どうした、日向?」
伊月や他の奴らまで心配して、
オレを見ていた。
「なんでもねーよ!ぜってぇ勝つ!」
オレはもちろん全力以上の全力で、
あいつらを叩きのめし…
いや、もちろんバスケで…
とりあえず圧勝した。
少しは腹の虫はおさまったけど…。
つか、すみれのヤツ、
やっぱモテるんだな…
練習試合も終わり、
片付けをしていたが、
ふと気がつくとすみれの姿がない。
体育館を出てすみれを探す。
「ねぇねぇ!いいじゃん!
番号だけでも教えてよっ!」
「え…?あの…それは…」
…っ⁈
すみれの声が聞こえた。