第19章 -誤解-(宮地清志)***
-現在-
「ゴメンねっ。
遅くなっちゃった…」
他県の学校での練習試合。
午前中は合同練習をして、
午後からは試合形式で3試合。
3試合ウチの勝利でおさめ、
あとは片付けて帰るだけ…
のはずが、片付け中に色々あって、
わたしはほとんど片付けをしておらず、
これから民宿に戻る皆の元へ
やっと合流した。
「「「………………っ⁈」」」
「…ん?あ…ゴメンてば…。」
皆の視線がイタイ…。
片付け任せちゃったからって、
何もそこまで…
「お…おう。
檜原、大丈夫なの…か⁈」
裕也から聞いていたのであろう。
大坪は理由を聞かなかったけど、
わたしの姿を見てビックリしていた。
「やっぱり大きすぎるよね…」
思わずこちらも苦笑いしてしまう。
「いや…檜原、
大きいとかじゃなくてだな…」
「ん?」
何か言いたそうな大坪だったけど、
それ以上何も言わなかった。
「あっれ〜?
すみれさん、ドコ行って…
って、何カワイイ格好してんスか?」
「は…⁇」
何がカワイイのだろう??
いつもの部活のTシャツなのに。
高尾が試合終わりとは思えない
ハイテンションで話し掛けてきた。
まぁ、いつものTシャツではあるけど、
ワケあってわたしは、
自分のTシャツではなく、
裕也のTシャツを着ていた。
下はジャージではなく、ハーフパンツ。
兄並みに大きい裕也のTシャツは、
やっぱり大きくて、
160cmと、女子にしては
それなりの身長のわたしでも、
ハーフパンツは履いていたが、
見えるか見えないかギリギリだった。
「下、履いてるんスか?
つか、ヤバいッスよ、それ♪」
「当たり前でしょ?
ヤバいって何が?ヒドくない?」
高尾を少し睨みつける。
「そっちの”ヤバい”じゃなくて〜。
や〜でも、いいっスね♪
”彼シャツ”じゃないっスか♪」
は…⁉︎
あぁ…そういうコトか。
「いや、まぁ、そりゃ大きいけど。
でも、裕也のだし、
部活のTシャツでしょ?
わけわかんない興奮しないのー。」
高尾に蹴りを入れ、
なんとなく定位置になっている
宮地の横に行く。
「ほんとあんたたち大っきいよね。」
宮地を見上げて話しかけたけど、
宮地は無言で返事をしてくれなかった。