第18章 -初恋-(青峰大輝)**
-現在-
月曜日の朝7時45分。
いつもアイツが並んでいるトコに
さりげなく並ぶ。
目線だけ動かし、アイツを探すけど、
大きくて目立つアイツは今日はいない。
電車を1本見送ったけど、
やっぱり来ない。
タイムアップ…。
朝練のない月曜日。
1週間に1度のチャンス…
今週は会えなかったな…。
諦めて次の電車に乗り、
スマホを開いた。
AM7:58
《マイちゃん、新しい写真集出すね(^^)》
大丈夫だよね…
変なメールじゃないよね…
何度も何度も確認して、
夜中にネットで見た最新情報を
アイツにメールした。
電車に揺られながら、
友だちにメールの返信をしていると、
メールを1件受信した。
作りかけのメールを保存し、
つい急いで新着メールを開いてしまう。
AM8:03
〈知ってる!
つか、○○の特典のやつ外れたんだぜー。
マジショックだった〉
相変わらず…
マイちゃん関連のメールの返信は早い。
そして、文章が長い。
だいたいメールは一言のアイツが、
行替えして3行も…。
わたしがメールした相手は、
マイちゃん大好き青峰大輝…。
マイちゃんでしか気が引けないなんて…
つまらない女だなぁ…。
そう思いながらも、
少しでも繋がっていたくて、
メールの作成画面を開く。
AM8:06
《○○も応募してたんだね♪さすがー(笑)
部活はどう⁇
わたしもやっと慣れてきたよ。》
10分たってもメールはこなかった。
今日はこれで終わりかな…。
そう思っていたら、メールがきた。
ドキッ…。
AM8:20
〈あたりめーだろ。〉
それだけ…か。
触れられたくないだろうなってコトに
敢えて触れると、
青峰くんはそこには触れてこない。
もう1度返信をして、
なんとか青峰くんとのメールを
繋げたいとも思うけど、
それはグッとこらえて
わたしはスマホをバッグに閉まった。
青峰くんとの出会いは中1の春。
中学で最初にできた友だち…
桃井さつきの幼なじみが
青峰くんだった。
青峰くんの気持ちは
今もさっぱりわからない。
あの時のキスはなんだったの…?
そんなこと聞けるわけもなく、
それでもわたしの心の中から、
青峰くんが消えることはなく、
ホームで偶然を装い、探してみたり、
青峰くんの好きそうな内容の
メールをしてしまう。