第17章 -友達-(福井健介)
なんとなくわかった。
3年最後のペアは、
偶然ではなく、
仕組まれたものだった。
たぶんオレの気持ちなんて、
部全体にバレてんだろうな…。
劉とアツシはひやかし。
岡村は付き合わされたのと、
他の女子マネの抗議から、
逃げてきた…ってトコか。
「福井…っ!あの…その…
ドコまで行くの?」
すみれの手を引いたまま、
旧校舎の屋上へは行かず、
オレは外へ出た。
あのまま屋上に行ったら、
全員にからかわれるに決まってる。
「や、ドコって決めてねーけど。」
合宿所のほうだと、
アイツら戻ってくる可能性あるしな。
オレは新校舎の裏手まで
行くことにした。
「このへんなら大丈夫だろ。」
手を繋いだまま、
すみれをジッと見つめた。
「福井…?」
すみれもジッとオレを見ていた。
「あーなんだ…まぁ…
さっきのでバレてんだろうけど…」
改まって言おうとすると…
やっぱ緊張すんな。
「好きなんだよ。オマエのコト。」
「福井…っ⁈」
すみれは目を見開いて、
驚いたようにオレを見ていた。
「ずっと1年のときからさ。
オマエとは仲良かったし、
部活では最高のマネージャーだし、
最高の友達だし…なんつぅか…
その関係崩すのが怖かったんだよ。」
オレは素直な気持ちを
すみれにぶつけた。
「つか、オレばっかり話してっけど…
オマエは?どうなの?」
普段通りを意識していたけど、
オレはさっきよりも緊張していた。
「わたしも…好き。」
すみれが繋いでた手を
さらにギュッと握ってきた。
「マジか〜〜!よかったぁぁ。」
オレは思わず手を繋いだまま、
ガッツポーズをしていた。
「そ、そんなに喜ぶ?」
すみれが聞いてきた。
「そりゃそうだろ?
オマエ、怖がりなのに、
オレの前だと強がるし、
オレのコト、男として
見てねーんじゃねーかって、
焦ってたんだかんな?」
「だって…ぶりっ子って
思われたらイヤだったんだもん。」
「ぶりっ子じゃねーだろ?
怖いときはちゃんと怖がれ!
オレがいるから…!な?」
「うんっ!」
オレは嬉しくて、
そのまますみれにキスをした。
---End---
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