第17章 -友達-(福井健介)
「すみれちん、何番〜?」
「ん〜、30番?あっくんは〜?」
「オレ?4ばーん。なーんだ、
すみれちんとペアじゃないなら、
オレ、行かなーーい。」
「そんなこと言わないのー。
それに、これ終わったら、
皆でスイカ食べるんだよ?」
「スイカ⁈じゃ、行く〜♪」
夏合宿の毎年恒例、
旧校舎での肝試しの
ペアを決めるクジ引き中…
またすみれが
アツシと盛り上がっていた。
ったく…最近仲いいよな。
「福井さーん、
クジ引いてください!」
「おう。」
クジの箱を持つ後輩に言われ、
オレは箱に手を伸ばした。
今年は岡村だけは避けたいな。
「ちょっとーー!
なんで、氷室くんのペアが、
岡村なのよーー⁈」
「い、いや…それはな、
公正なクジの結果じゃから…」
オレがクジを引こうとしていると、
女子マネ数人の悲鳴とも取れる
抗議が聞こえた。
とりあえず2年連続岡村とのペアは
避けられたってコトだな。
オレはちょっと安心して、
クジに手を伸ばす。
って、あと1枚じゃねーか。
このクジも今年最後かぁ。
今年もムリか…。
「あ♪福井〜♪何番だった?」
オレがクジを引いていると、
すみれがオレの隣に来た。
「ん?あぁ、30?」
「あれ?じゃ、福井、わたしとだよ?
3年最後は福井とかぁ。」
…っ⁈マジか‼︎やっと…‼︎
「な〜んだ、すみれか〜」
不満げに言ってみるが、
心の中では
ガッツポーズをしていたオレは、
心の中を見透かされないようにするのに
必死だった。
「ひっど〜‼︎
数少ない女子とペアになれただけ、
感謝しなさいよね!」
すみれが腕をポカポカ叩いてきた。
「いてっ‼︎わかったわかった!
オマエ、男より乱暴じゃん(笑)」
「そんなことないもん。
か弱い女のコなんだからー。」
「はいはい。めんどくせー。」
そんな話をしていたら、
あっという間に
オレたちの番になった。
オレたちは最後だった。
「ほら、行くぞ?」
「あ!待ってよ。」
オレはすみれをおいて、
先を歩いた。
置いてく気なんて
まったくねーんだけど。
先を歩きながらも、
後ろのすみれを気にし、
オレらは旧校舎に向かって歩いた。