第15章 -内緒-(黄瀬涼太)
「…っ‼︎正直でよろしいっス♪」
…チュ。
「涼太っ⁈」
「正直に言えたご褒美っス♪」
「い、いきなりはズルいっ。」
「今日も真っ赤で可愛いっスよ♪」
「〜〜〜〜〜っ。もうっ。」
わたしが恥ずかしがると、
涼太は嬉しそうにニコニコ笑う。
涼太が隣で笑ってくれるだけで、
わたしは嬉しかった。
「今度のデート楽しみっスね〜♪
オレ、もうそれだけを楽しみに
今週頑張ってるっス♪」
そう。
今度初めて外で涼太とデートをする。
お仕事も部活も偶然休みで、
わたしもすごく楽しみにしていた。
「ほんとだね。
わたしもすごく楽しみだよ♪」
涼太にギュッとくっついた。
「どこに行くか、
オレが決めていいっスか⁇」
「うん。もちろん♪
どこか行きたいトコあるの⁇」
「それは当日のお楽しみっス♪」
「じゃ、楽しみにしてるね♪」
「すみれっち…」
…チュ。
涼太がまたキスをした。
「涼太⁇そろそろお弁当食べないと、
お昼休み終わっちゃうよ?」
わたしはそっと涼太から離れた。
「すみれっち食べてるから、
おなかいっぱいっス♪」
涼太がいたずらっ子みたいに
ニコッと笑いながら言った。
「じゃ、お弁当いらない⁇」
「あ〜っ‼︎いるっス〜‼︎」
わたしがお弁当を
取り上げるふりをすると、
涼太が慌てて取り返した。
『黄瀬ーっ‼︎いるのか⁈』
…っ⁈
体育館の下から涼太を呼ぶ声がした。
思わず涼太と顔を見合わせる。
「笠松先輩っス。
今日、ミーティングって
言われてたんだった!
笠松せんぱーい!今行きますっ!」
涼太はお弁当の残りを
急いで口に入れた。
「ごちそうさまっ!
今日も美味しかったっス!」
「よかった。涼太、大丈夫?
お茶飲む?忘れ物ない⁇」
わたしがペットボトルを差し出すと、
突然涼太にぐいっと腕を引っ張られ、
またキスをされた。
…チュ♪
「忘れ物っ♪
じゃ、行ってくるっス♪」
涼太はそのまま行ってしまった。
ふ…不意打ちのキスは無しだよ…。
こんなんで…涼太とのこと…
周りに内緒にしてられるのかな。
わたしは、
幸せな気持ちに満たされながら、
そんなことを考えていた。
---End---