第2章 -百合-(氷室辰也)★
それから辰也くんと色々な話をした。
アメリカの話やバスケの話。
学校の話に友達の話…。
お互い色々話した。
わたしは意識しすぎて、
たぶん話しすぎていたと思う。
ヤダな…。
初対面なのに、
辰也くんがかっこいいからって、
浮き足立ってるのかな…わたし。
最低だなぁ…。
でも、見た目だけではない。
あのサラリーマンに絡まれた時、
本当はすごく怖かった。
本当はちょっと泣きそうだった。
涙は誰にも見られてないけど。
誰かに助けてほしかったけど、
皆見て見ぬふりだった。
そうしたら、助けてくれた。
本当に嬉しかった。
「そういえば、さっきの香山先輩て、
ゆりなの彼氏なの?」
時間も時間だし、
そろそろ帰ろうか?となった時、
突然辰也くんが聞いてきた。
「なんで?違うよ〜。
香山先輩はバスケ部の先輩。
お兄ちゃんみたいだけどね。」
変なこと聞くなぁ。
わたし達は途中下車したので、
また同じ方面の電車に乗った。
終電が近いからか、
さっきよりも混んでいた。
「ゆりな、そっちじゃ危ないよ。」
腕を引かれ、
わたしは辰也くんのほうへ
引き寄せられてしまった。
ち…近い…。
混んでるけど、辰也くんのおかげで、
わたしは人に押しつぶされない。
でも…
顔あげられない…。
こういうこと簡単にしちゃうの…
ズルイ。