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〜Mint Candy Story〜

第15章 -内緒-(黄瀬涼太)


「…ゴメン。
部屋に入ったとき、あれ…
見ちゃったんス。」


机には、
わたしが破った家族写真と
両親の離婚のため、
学校へ再提出する書類が置いてあった。

昨日郵送されてきた書類を
出したままだった。


黄瀬くんに…ちゃんと話さなきゃ…。


「わたしね、両親が離婚して、
父親に引き取られたの。
でも、親権を争ったとかじゃなくて、
ただのあの人たちの押し付けあい。
2人とも仕事するには、
子どもなんか邪魔だったの。」


笑いながら言ったつもりだけど、
わたしはちゃんと笑えてるのかな…。


「あっちに行けば、
こんないいことがあるんだよ…って、
散々2人とも相手を褒めて…。
そんなにいいトコ知ってるなら、
別れなければいいのにね。」


少し興奮して話したからか、
頭が重くなってきた。
わたしは少しだけ布団にもぐった。


「いらないなら…
なんでわたしなんか産んだんだろ。
産まなきゃよかったのに…。」


やば…声が…。
なんでわたし泣きそうになってるの⁈


「ゴメ…っ。」


わたしはそのまま布団をかぶり、
泣きそうになるのを必死でこらえた。


なんで涙が出てくるの⁇
もう平気なのに。
あの人たちに期待なんか…
してないのに…。


早く顔出さなきゃ…
黄瀬くんが気にしちゃう…。




バサッ…



「すみれっち‼︎」


…っ⁇



いきなり黄瀬くんが布団をめくり、
わたしを抱き締めた。


「いらなくなんかない!
オレにはすみれっちが必要っス‼︎」


「黄瀬…くん…⁇」


気付いたら涙がこぼれていた。


「仮に…もしも、
他の人みんながすみれっちのこと
いらないって言っても、
オレだけは、
絶対すみれっちが必要だから‼︎
だから…泣かないで、すみれっち…」


黄瀬くんが力強く…
ギューッと抱き締めてくれた。


わたしはこの手を…
この人を信じていいのかな…⁇


ほんとに…⁇


わたしは恐る恐る
黄瀬くんの背中に手を回した。


「…すみれっち‼︎」


黄瀬くんはさらに強く
わたしを抱き締めてくれた。


この人を…
黄瀬くんを信じよう。


信じて…いいんだよね。



少しボーッとしてきたわたしは、
黄瀬くんの腕の中で目を閉じた。






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