第14章 -告白-(虹村修造)★
「さっきの”お姫さま”で
くれるんじゃないんですか?」
「えぇっ⁈」
ひかりさんは、
みるみる赤くなっていった。
「さっき30点て言ってたから。
今度は100点の”お姫さま”、
してくれるんじゃないんですか?」
「……っ。」
ひかりさんは声にならない声で
何か言いたそうにオレを見ていた。
それだけで十分可愛かったんだが、
ひかりさんが突然、
とんでもないことを言い出した。
「じゃ、虹村くんもしてくれる?」
「は⁈」
オレが”お姫さま”すんのかよ⁈
「虹村くんが”王子さま”で
受け取ってくれる?」
…………⁈
「は…⁈あの…ひかりさん?」
オレは固まってしまった。
ひかりさんをからかってたはずなのに、
いつのまにか立場逆転だ…。
「だって…さっきもわたし、
”王子さま”って言ったでしょ?
王子さま役も
ちゃんとなりきってもらわなくちゃ♪」
「ひかりさん…さっき、
謝ってませんでしたっけ…?」
ひかりさんなら本当に
王子役をやらせかねない…。
「うん…。ゴメンなさい。
でも、今、虹村くんから言ってきたし、
もう1回やるなら、
ちゃんと王子さま役してほしいなぁ♪」
「な…何言ってんだよ?
ぜってぇムリ!」
やべ…敬語抜けた…。
恐る恐るひかりさんを見ると、
ひかりさんは笑いを堪えていた。
「ふふ…あははっ(笑)♪」
「ハハッ…(笑)」
お互いの目が合った瞬間、
2人でおなか抱えて笑ってしまった。
「”お姫さま”は…練習しときます。」
そう言ってひかりさんは
オレにチョコをくれた。
「ありがとうございます。
じゃ…期待してます。」
ひかりさんの本命はわかんねぇし、
オレも…まだ告白すらできていない。
本当は、運動会のあとから…
ひかりさんのことは、
諦めようとしていた。
でも…
これからどうなるかなんて、
もっとわかんねぇけど…
ひかりさんのこと…諦めたくねぇ。
オレの前で微笑むひかりさんを見て、
オレは心底そう思った。
---End---