第14章 -告白-(虹村修造)★
放課後、部活が始まり、
わたしは後輩マネージャーたちに
テーピングの指導をしながら、
こっそり虹村くんを盗み見ていた。
「ひかりさん!ひかりさん⁈」
「えっ⁈あ、ごめんね!」
明らかにテーピングを巻きすぎていた。
「ひかりさんでも
そんなことするんですね。」
後輩たちが笑いながら言う。
「ごめんてば〜。
ひかりさんでもってどういう意味〜?」
「あ、変な意味じゃなくて。
ひかりさんが間違えるなんて
珍しいから。」
「そう?わたし、よく間違えるよ。」
「えー?ひかりさんはなんか
完璧なイメージですよぉ。」
「ありがと♪でも、お世辞言っても
何も出ないよ〜(笑)」
やっぱりバスケ部は居心地がいい。
3年生は夏の大会で引退したけど、
わたしは推薦で一足早く高校が決まり、
卒業までの間、
後輩マネージャーの指導も兼ねて、
マネージャーに復帰することになった。
少しだけ…少しじゃないか…。
邪な気持ちがあったのは嘘じゃない。
少しでも虹村くんの近くにいたかった。
「すんませーん。
コールドスプレーありますか〜⁇」
「うわっ…⁈」
虹村くんのことを考えていたら、
本人に話しかけられたので、
変な声を出してしまった。
「…?そんな驚かなくても…。」
「ごめんごめん。」
「ひかりさん、お願いします♪
わたしたちドリンク準備するので。」
…?
後輩たちが揃って行ってしまった。
「あ!コールドスプレーだよね?
どこが痛いの?」
「足首が…この辺…。」
虹村くんをベンチに座らせ、
足首を見る。
見た目はかわりない。
左右に少しずつ足首を回してみる。
「これ…痛い?」
「いえ…大丈夫です。」
「ん…じゃ、大丈夫だと思う。
スプレーしとこうか。
違和感あったら、すぐ言ってね。」
わたしはスプレーをした。
虹村くんを診ている間に
休憩時間になったみたいだった。
「はい。ドリンク。」
「ありがとうございます。」
虹村くんに手渡すと、
虹村くんはその場で飲み始めた。
さりげなく…
さりげなく、虹村くんの隣に座る。
「ね、虹村くんて
ほんとにチョコいらないの?」
「な…っ⁈」
「あ!赤くなったー!可愛い♪」
い…いつもの感じだよね…⁈
少し虹村くんをからかってみた。