第8章 -大凶-(緑間真太郎)*★
他校だから、体育館の外なんて
まったくわからないのだが、
適当に進んでいると、
中庭のような誰もいない所に出た。
緑間
「すまない…突然。」
…なにを話せばいいんだ?
勢いで連れてきてしまったが…。
だが、宮地さんの話を聞いて、
いてもたってもいられなかった。
緑間
「おみくじ…助かったのだよ。」
やっと出たことばだった。
かんな
「…‼︎覚えててくれたの⁈」
緑間
「当たり前なのだよ。」
かんな
「そっかぁ。嬉しい!
忘れられちゃってるかなって
思ってたから。」
…っ⁈
う…嬉しいだと⁈なぜ…?
かんな
「今日のラッキーアイテムは
大丈夫だった?」
緑間
「当然なのだよ。」
かんな
「そっか。」
なぜか、かんなは少し残念そうだった。
かんな
「そうだよね。
今日ね、もし緑間くんが
ラッキーアイテム、
見つけられなかったらって思って、
一応緑間くんの分も持ってきたの。
ほら♪」
そう言ってカバンに付いている
赤いテディベアのキーホルダーを
見せてくれた。
オレのために
用意してくれていたのか?
緑間
「なぜ2つ付けてるのだよ?
…‼︎蟹座なのか?」
かんな
「うん。7月7日♪七夕だよ。
覚えやすいでしょ?
緑間くんはいつ?」
緑間
「…同じなのだよ。」
かんな
「え?」
緑間
「オレの誕生日も7月7日だ。」
かんなは目を丸くして、
オレを見上げていた。
かんな
「ほんとに〜⁉︎すごーい‼︎
なんだか嬉しいね♪
あ…っ。ごめんね。
なんかほぼ初対面なのにこんな…
馴れ馴れしくというか…。」
かんなは赤くなって、
下を向いてしまった。
緑間
「…忙しいヤツだな。」
かんな
「え?」
…っ⁈
ふと顔をあげたかんなは
とても可愛かった。
緑間
「明るく可愛らしくすごい勢いで
話してくれるかと思えば、
突然照れて真っ赤になる…。
忙しくて面白いのだよ。」
かんな
「…っ⁈ひどーーい。面白いとか〜。
面白いなら、緑間くんのほうが
面白いもん。」
緑間
「な…っ⁈どういう意味なのだよ⁉︎」
思いがけないことばにオレは焦った。