第8章 -大凶-(緑間真太郎)*★
-かんなside-
「で?そのわけわかんない
オハ朝信者に恋しちゃったわけ?」
夏休み明け新学期早々
みつばのキツイ一言が飛ぶ。
「そんな言い方しなくても〜〜」
わたしはお弁当のタコさんウインナーを
グサグサ刺して八つ当たりしながら、
みつばを見つめた。
みつばは高校に入ってからの友だち。
みつばはこの通り歯に衣着せぬ…
というか、
可愛いのにハッキリサッパリしていて、
気が合った。
子どもの頃から霊感が強かったわたし。
今は言わないけど、子どもの頃は
それがわたしだけだと思わなくて、
見えたことをそのまま言っていた。
この辺の人なら皆知っている藤宮神社。
そこの神主の娘ってこともあって、
余計に怖がられてたみたいで、
小学生になる頃には、
わたしはいつも1人だった。
まぁ、小学生も高学年になると、
なんとなく周りも見えてくるし、
1人はさほど辛くもなく、
むしろラクだと思っていた。
何かされるわけでもないし…。
でも、高校に入ったら、この人…
篠崎みつばが話しかけてきた。
・・・・・・・・・・・・・・
『ね、なんでいつも1人なの?』
入学して3日目に、
突然みつばに話しかけられた。
その時は名前も知らなかった。
『え…?別に…』
『霊感強くて、皆怖がってるから?』
嫌味な人…って最初思った。
人のことなんにも考えないで、
他人の心に土足で踏み込むような感じ。
そういう人は実際にいたし…。
『あなたには関係ないでしょ。』
『う〜ん…そういうのって
周りも悪いけど、
藤宮さんもちょっと悪いんじゃない?』
『…なにが言いたいの?』
『だって、藤宮さんの
”近寄らないでオーラ”すごいもん。
そんなんじゃ誰も話せないよ。』
痛いトコを突かれた…。
1人は平気…
平気だけど、友だちがほしい…
でも、これ以上怖がられるのは怖い…
そう思ってた。
『じゃ、なんであなたは、
わたしに話しかけてくるの?』
ちょっとムキになって、
いつもなら黙ってやり過ごすのに、
思わず言い返してしまうと、
思いもよらない返事が返ってきた。
『だって…
話してみたかったんだもん。ダメ?』
何を言ってるんだろう…?
そう思ったけど、みつばの目は真剣だった。