第7章 -失恋-(高尾和成)*★
「これ、探してたんでしょ?」
差し出してきたのは
「大凶」のおみくじだった。
「お清めし直したら、これあげるよ。」
「いや…でも…ちゃんと引いて
自分の物にしないと…」
一瞬揺らいだが、
おみくじをもらうというのは気が引ける。
「でも、あんなに必死で引いてたし、
何回もしたんだし、
今わたしを助けてくれたし、
神様も許してくれるんじゃないかな?」
…っ‼︎
見つめられて思わずドキッとしてしまう。
美山に見つめられても、
そんなコト一度もなかったのに…
「わ、わかったのだよ。
その代わり、清め直しはいらない。
そのままくれ。」
「え…?でも…」
「正式に引いたおみくじでないのだし、
今落ちてしまったものを
おまえからもらうのなら、
少しは気がラクになるのだよ。」
「そうなの?ん〜じゃあ、はい。」
ドキ…ン。
また胸がうるさくなった。
我ながらヘタな言い訳だったが、
彼女はそのまま、
オレに「大凶」のおみくじをくれた。
おみくじをもらう時に手が触れてしまう。
「あ…ありがとう…なのだよ。」
「"なのだよ"⁇…ふふ。
どういたしまして。キミ、面白いね。」
…っ⁈
さっきから…変なのだよ…オレ。
「な、なにがなのだよ?」
「えっ?だって…
あ、ごめんね。行かなきゃ。
お祭り、楽しんでね。
拾うの手伝ってくれてありがとう!」
そう言うと、また小走りで、
周りにぶつかりそうになりながら、
女は走って行ってしまった。
…名前も聞けなかった。
オレはもらったおみくじを見た。
大凶…初めて見た。
何もかも悪いことが書いてあった。
だが、恋愛運だけ違った。
「新しい出会い。素直が吉。」
---End---
→to be continued
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